(一社)LGBT理解増進会・LGBT理解増進ネット(最新情報)

同性愛や性別違和など性的マイノリティの人々が、日本社会で自分らしく生きていけるための、すべての基礎となる理解増進法の制定を目指します。

明けましておめでとうございます

謹賀新年

明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりありがとうございました。
本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。


昨年は6月に当会の悲願であったLGBT理解増進法が成立しました。
しかし、全く本来の法の理念が伝わらず、それどころかLGBT法と報道されてしまって差別禁止法と同一視され、保守層の皆さまに大きな不信感となってしまったことを非常に残念に思います。
当会も非難の対象となりネット上でも誹謗中傷が散見し、名誉棄損に当たる判断したものについては兵庫県警生田警察署に被害届を出して受理されました。


大荒れに荒れた昨年でしたので今年はじっくり説明責任を果たし、内閣府が作成する基本計画、指針の作成に協力させて頂きます。
トランスジェンダーに関する最高裁の判断に引き続き留意しながら、理解増進法の運用を通じて社会が混乱しないように努めて参ります。


研修、講演会等のご要望がありましたらご遠慮なくお問い合わせください。理解増進法の提案団体としてしっかりお話をさせて頂きますのでよろしくお願い申し上げます。


先ほど石川県で令和6年能登半島地震が発生しました。取り急ぎ馳浩石川県知事にお見舞いのメッセージを送らせて頂きました。被害が少しでも少なく済むように心からお祈りしています。


今年は早々から政治が不安定になっている中で、いよいよ理解増進法の運用が始まります。心して努めて参りますので何卒、よろしくお願い申し上げます。

 

令和6年 元旦 

一般社団法人 LGBT理解増進会 
https://lgbtrikai.net/

性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定(令和5年10月25日)に対する特別抗告事件についての当会の見解について

 

初めに本決定は最高裁大法廷によるものであり尊重すべきものであることは言うまでもありません。

本決定により広島高裁岡山支部判決(令和2年9月30日)に破棄差戻しされました。

今回の決定は、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律にある
四 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
について、第四号要件(生殖腺)については違憲、第五号(手術)要件については審理するよう命じました。

国民生活に大きな影響を及ぼしかねない本決定が国民の皆さんがほとんど知らない間になされたことに深い憂慮の念を禁じえません。

ネットを中心に、女性自認の身体男性が女性風呂やトイレに入り、スポーツでも女性は勝てないどころか危険性を心配する声が多く寄せられています。

また、理解増進法の名称が今回の判決文で引用されあたかも理解増進法がこの判決を促進したというご批判も多く寄せられています。

当会はこれらのご指摘に対して真摯に受け止めています。その上で、このことに関しては誠に遺憾ですが、最高裁に理解増進法が誤用されたと考えています。

国民の理解が未だ進んでいない現状を鑑み、心の涵養をもって社会の涵養を促すことは今後の課題であることは言うまでもありません。

理解増進法の成立のみで社会が変わるはずもなく、同法第12条に基づき国は早急に国民の懸念を払しょくし、当事者を含む全ての国民が安心して生活できるように、基本計画、指針の作成を急ぐ必要があります。

当会は理解増進法の成立大きな役割を果たした団体であることを肝に銘じて、国に対して今後もしっかり政策提言を続けて参ります。


令和5年10月7日
一般社団法人 LGBT理解増進会 
代表理事 繁内幸治
https://lgbtrikai.net/

 

LGBT理解増進法の理念をも曲解した決定は不当な判断です

手術を受けていなくても戸籍上の性別を変更することを認めた静岡家庭裁判所浜松支部の決定について、LGBT理解増進法の解釈に問題があります。

LGBT理解増進法は、未だ基礎知識の普及もできていない現状を変えるために、国民のLGBTの理解増進を目的に、涵養の精神を育み、寛容な社会を作ることを目的に立法化したにもかかわらず、LGBT理解増進法が成立したことを理由に社会が変わったとして、社会に重大な影響のある判断をしてしまうことは、あまりにも軽率で現実を直視しておらず法の誤認、曲解です。

静岡地裁浜松支部の決定に、社会は何ら不服の申すすべがないことは、制度の不備であります。

同決定は、現時点では判事の暴走であって不当な決定と言わざるを得ません。

これを機会に国民の多くが危機感を共有し、納得できる社会をを構築できるかどうか、まさに分水嶺が到来したと考えます。

静岡家庭裁判所浜松支部の決定は、国民のLGBTに関する理解の増進の妨げとなるものと考えます。


一般社団法人 LGBT理解増進会
https://lgbtrikai.net/


参考 
戸籍上性別変更に手術必要の規定「憲法違反で無効」静岡家裁2023/10/12 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231012/k10014223241000.html?fbclid=IwAR1oYQTSSAajVemFeOracwMmpbb2HMXSBPpJOokc-63E3bhyts4U_BAAIU0

役員の退任と新任のお知らせ

 
当会理事会にて次の通り理事の新任と退任がありましたのでご報告いたします。
 
新任 (一社)LGBT新潟代表理事 木村圭李(きむらけい)
退任 衆議院議員稲田朋美氏 政策秘書 大河内茂太
 
大河内茂太さんは、兵庫県宝塚市議会議員時代を含め理解増進会設立時から当会の運営に多大なご尽力を頂きました。心よりお礼を申し上げます。
新たに理事となった木村圭李さんは、トランスジェンダーについての見識が深く、当会としても新たな活動の原動力になってもらえるものと期待しています。
 
 

成立したLGBT理解増進法の全文はこちらです

 

成立したLGBT理解増進法(正式名称 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律)の全文です。

官報公開のものをこちらに貼っておきます。

官報掲載1

 

官報掲載2

 

性的指向及び性同一性の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案から修正された部分は以下

題名及び本則(第十一条を除く。)中「性同一性」を「ジェンダーアイデンティティ」に改める。

第一条中「法律は」の下に「、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み」を加える。

第六条第二項中「関し」の下に「、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ」を加える。

第十条第一項中「、民間の団体等の自発的な活動の促進」を削り、同条第三項中「ための」を「ため、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、」に改める。

第十一条の見出しを「(性的指向ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議)」に改め、同条中「性的指向・性同一性理解増進連絡会議」を「性的指向ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議」に、「性同一性の」を「ジェンダーアイデンティティの」に改める。

本則に次の一条を加える。
(措置の実施等に当たっての留意)
第十二条 この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとする。

附則第三条中「性同一性」を「ジェンダーアイデンティティ」に改める。

 

経済産業省職員に対する省内の女性用トイレの使用制限を違法とする最高裁判決について

 

性同一性障害経済産業省職員に対するトイレ使用制限を巡り最高裁が7月11日、国の対応は「違法」とする初判断を示しました。

この判決は、あくまでも経済産業省に勤務する個人の場合であって、拡大解釈をしないように注意が必要です。

LGBT理解増進法が成立したばかりで、今後の立法、行政行為を尊重して頂けなかったことは誠に遺憾ではありますが、約4年10か月に渡って経産省が何も対応して来なかったことが今回の判決につながったことを思うと、理解増進法がもう少し早く成立していれば判断は変わった可能性があるだけに残念です。

国は今回の判決を鑑み。理解増進法に基づき早急に指針、基本計画を作成して欲しいと思います。

当会代表理事の意見は、産経新聞で紹介されていますのでご一読頂ければ幸いです。


最高裁判決「反発生み社会分断も」LGBT法アドバイザー(産経新聞2023/7/11)
https://www.sankei.com/article/20230711-RF4EVHTT7NLSNN3MYNX6CQTCIY/

女性として暮らす性同一性障害経済産業省職員に対する省内の女性用トイレの使用制限を違法とする最高裁判決が11日、示された。LGBTなど性的少数者への理解増進法の作成に自民党のアドバイザーとして関わった一般社団法人「LGBT理解増進会」の繁内幸治代表理事産経新聞の取材に応じ、「LGBT全体への反発を生み、社会の分断につながる恐れもある」と懸念を示した。

判決は不特定多数のトランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)に女性トイレの利用を認めたものではないが、性急すぎるのではないか。LGBT全体への反発を生み、LGBTに対する理解を深める流れに逆行しかねない。

トランス女性の女性トイレの利用について社会の理解は追い付いていない。顔見知りのトランス女性と職場のトイレを共用することを嫌がる女性も多い。

社会の分断につながる恐れもあり、理解増進法が掲げた共生社会の実現という理念になじまない。「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意する」という理解増進法の文言との整合性も問われることになる。

障害者や外国人の人権と比べ、LGBTに対する国民の理解は進んでいない。無意識のうちに言ってしまった発言が性的少数者を傷つけるというケースもある。基礎知識を勉強し、一歩一歩進んでいこうというのが理解増進法の法理だ。

もう少し早く理解増進法が成立していれば、こうした判決にならなかったかもしれない。国は速やかに理解増進法に基づいて基本計画や指針を策定し、トランス女性による女性専用スペースの利用を巡る国民の不安や違和感を払拭するよう努めてほしい。(聞き手 奥原慎平)

 

一般社団法人 LGBT理解増進会
https://lgbtrikai.net/

LGBT理解増進法が成立しました【代表理事談話】

本日、参議院本会議で自民、公明、維新、国民、有志の会の皆さまのご賛意を得てLGBT理解増進法が無事成立しました。

この法律は、私が平成28年2月19日の自民党本部で開催された「第1回自民党 性的指向性自認に関する特命委員会」の席上で、「LGBT理解増進法を作って欲しい」と政策提言したことに始まります。

あれから7年4か月の年月を経て無事今日の日を迎えることができました。
改めて皆さまのご理解とご協力に心より深くお礼を申し上げます。

「差別禁止ではなく理解増進で」、「精神の涵養と寛容な社会」、「目指すは10年後の世界一」、「カムアウトする必要がない社会」など、色々な言葉を発信し続けた7年4か月を懐かしく思い出します。

いま先進国では、差別禁止を掲げても、同性婚ができても、社会を真っ二つに分断してしまう厳しい現実に直面し、昨今は、トランスジェンダリズムの拡大に伴い女性や子どもの安心・安全が脅かされています。

本来は国会で議論を深めたかった法の理念の根幹である理解増進ではありましたが、残念ながら衆議院では本法案に直接関係のないお風呂、トイレばかりが取り上げられ、参議院でも多くの時間がお風呂、トイレの他、当事者を巡る困難というミクロの視点に焦点が当たったことを残念に思っています。

ネット上でも、議員立法、理念法という法律の知識や国会運営などに不慣れな皆さんとの議論はかみ合わず、理解増進法に対する理解の増進をしなければならないことが苦く思えました。

法律は施行されますが、まだまだ理解増進法の真の姿をご理解頂くことなく多くの皆さまのご懸念も残ってしまっていると思っています。

理解増進法は教育と社会啓発の理念法です。

しかしトイレや風呂が焦点化された結果、図らずも穏やかに暮らしておられたGID、犯罪と無関係のトランスジェンダー性分化疾患の当事者、ご家族の皆様に多大なご心労をお掛けしてしまったことは痛恨の極みです。

国はこの事実を重く受け止め指針、基本計画に活かして頂く必要があります。

今後は法に基づき、先ずは指針、基本計画を作成する中で、近い将来、理解増進法で本当によかったとご評価頂けるように甚だ非力ではありますが精一杯務めて参りたいと思いますので、引き続きご指導とご協力をお願い申し上げます。


理解増進法が今後のわが国の全ての性的マイノリティの幸福への道しるべとして歴史を刻んだ記念すべき日に

 

令和5年(2023)6月16日

一般社団法人 LGBT理解増進会 https://lgbtrikai.net/

代表理事 繁内幸治

 

※私が理解増進法を政策提言するきっかけから今に至るまでを神戸新聞が丁寧に報じてくれていますので、ぜひ御覧ください。

神戸新聞 20230609